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【高校生必見!】大学で「研究する」ということ ~スピントロニクス研究室 修士課程2年 今枝 寛人さん~

2024.09.26

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「高校時代は勉強が嫌いだった」という今枝さんは、修士課程修了後は博士後期課程に進学予定。さらに「研究」を極めていきます。今回は今枝さんの研究活動を通じて、豊田工業大学での「研究」とは、どういうものなのかを紹介します

高校生の皆さんは「大学で研究する」ということは、具体的にどのような活動かご存じでしょうか

 文部科学省のホームページには、「大学」の説明として「多様な教育研究を展開し、社会で活躍する人材の輩出や、社会に変革をもたらす研究成果の創出など、知の基盤としての役割を果たします」と表現されています。

「知の基盤」と大学が呼ばれるのはなぜでしょうか。

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学修とは、既知の?帰結?を「覚える」ことではありません。その帰結が生じる?理由?を基礎までさかのぼって調べ、帰結と理由の関係性に納得するまで考え「理解する」ことが、大学における学修です

 大学は「学修」を行うところであり、また「研究」を行うところでもあることは、みなさんもご存じだと思います。

 大学の「学修」では、高校までに養ってきた基礎的な学力を活用して、「『帰結』に対応した『理由』を手繰り、両者の関係性に納得するまで考えて理解すること」を習慣づけ、この過程で、「論理的思考力」や「自己学修能力」などの「汎用的能力」を身につけることもできます。

 「研究」では、研究の推進に必要な「学修」も行い、「専門的理解」を深めていき、さらに「汎用的能力」も発展させます。
そして、体系的な「理解」と「論理的思考力」によって「創造性」も逞しくなり、忍耐力や共感力などの「人間力」も豊かになります。

 本学では、このように、「学修」と「研究」は人材育成を駆動する「両輪」と考えています。大学の「研究」は、人材育成のための駆動輪のひとつですが、同時に「研究成果の創出」も大切な役割です。

  • 詳しくは学長メッセージをご覧ください こちら
大学における「研究活動」とはどのようなものなのでしょうか

 「研究活動」と聞いてどのようなことを想像しますか。

 ひたすら毎日実験する? 成果を論文やポスターにまとめる? まとめた論文はどうなっていく?

 高校などで行う「探究学習」を通じて、みなさんの頭にはなんとなく「研究」のイメージが湧いているかもしれません。

 本学では、学部4年次には「卒業研究」、修士課程2年間には「特別研究」というカリキュラムがあって、その間に取り組んだ研究成果を最終的には「卒業論文」ないしは「修士論文」としてまとめる必要があります。

 一方で、研究を通じて社会に貢献することを学生の皆さんにも期待しています。

 つまり、研究で得たその成果をこれらの「論文」にまとめることは、学生の皆さんにとって卒業?修了のための必修科目であるだけではなく、学生の皆さんも教員とともに社会の課題解決に向き合う"共同研究者"の一人となることでもあります。

 大学の教員は、教育者であるとともに研究者でもなければならず、"アカデミア"と呼ばれます。この"アカデミア"の指導の元で、学生の皆さん自身が世の中にインパクトを与える「研究成果」を生み出すことも当然あります。

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修士課程1年次の秋に行われる「修士中間発表会」の様子。修士課程2年次2月に実施される最終試験「修士論文発表会」に向け、研究の位置づけや方法、進捗状況などをポスターにまとめて発表します

「研究成果」はどのように社会に還元されるのでしょうか

 今回は、スピントロニクス研究室 修士課程2年の今枝 寛人さんの活躍を例に挙げ、本学における「研究活動」をご紹介したいと思います。

 磁石の起源は、磁石を微小なスケールでみたときに現れる電子の磁石と考えられており、「電子スピン」と呼ばれています。

 この「電子スピン」と「半導体技術によって発展したエレクトロニクス」を融合した新たな分野が「スピントロニクス」です。

 電場のみならず磁場が電子を駆動することから、従来の半導体デバイスの性能を凌ぐ可能性があると期待を集めている研究領域です。

今枝さんは、本学の複数の教員および別研究室で研究を行う学生とも協力して、米国の著名な学術雑誌「Applied Physics Letters(APL)」に論文を執筆?投稿しました

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スピントロニクスを熱流センサに応用する際の問題点に着目して新たな複合材料に注目したことで、従来の材料と比べて4倍程度大きなセンサ感度の実現に成功

 大学には研究成果を社会に還元することが求められていますが、得られた知見を広く公表する「学術雑誌への論文投稿」もその一つの手段となります。

異常ネルンスト効果とは???

熱流(温度勾配)の方向と磁化(磁石の向き、N極S極の向きのようなもの)の方向の両方に、垂直方向に起電力が発生する効果のことです。「フェルミ準位近傍の電子バンドのベリー曲率の寄与」と、「ゼーベック効果と異常ホール効果の寄与」の"2つの寄与"が存在すると言われています。

熱流センサとは???

熱を検知するセンサとして一般的に温度センサが利用されていますが、温度センサは熱を「温度」というスカラー量でしか検知できません。それに対し熱流センサは、熱の流れの方向を示す「ベクトル量」として検知できるため、「熱マネジメントのための優れた要素技術」として期待されています。

異常ネルンスト型熱流センサの応用が期待される例???

自動車エンジンの熱評価、デジタルツインによる大型炉内の熱分布解析(工業炉のエネルギー最適化)エアコンやドライヤーの熱評価、住宅の断熱材の評価、スマホなどのリチウムイオン電池の異常熱検知など

 学術雑誌においては、その著者として「学生」「教員」「研究者」などを全く区別しないので、「学生が筆頭著者だから査読を甘くしてあげよう」などということは一切ありません。

 論文が雑誌に投稿されると、該当する分野の「専門家」が査読を行い、論文として世に公表してもよいクオリティになるまで査読員からの指摘に対して執筆者は内容の改善に向けて真摯に応対する、という数カ月にもわたるやり取りを経て、やっと論文は掲載されます。

 このやり取りを通じても、論文内容はより一層ブラッシュアップされます。研究をさらに発展させるためにも、「専門家」の目に触れる論文投稿は積極的に行う必要があります。

 また、全編英語で執筆する必要があるため、相当な英語力も求められます。論文誌への投稿?掲載のほか、世界各国の研究者が集まる国際会議などで発表を行うことも重要です。

 こちらでも英語が必要ですから、国際的に活躍しようとする学生の皆さんは、英語力の鍛錬を怠ることができません。

  • 本学の国際化に向けた取組については こちら

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イタリア?ボローニャで行われた国際会議(International Conference on Magnetism:ICM2024)で発表を終え、指導教員の田辺准教授と2ショット

今枝さんがAPL誌に投稿した論文は、「注目論文(Featured Articles)」の一つに選出されました

 雑誌1巻には、複数の投稿論文が掲載されます。その中で、"特に注目を集めた"ポイントはどこか尋ねたところ、

「スピントロニクスを熱流センサに応用する際の問題点として素子内のミクロな熱の流れに着目して、新たな複合材料に注目したことで、従来の材料と比べて4倍程度大きなセンサ感度の実現に成功しました。そこが注目されたのではないかと考えています」と今枝さん。

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研究設備が充実しているところも本学の魅力の一つ。少人数であるため装置の順番待ちがほぼなく、使いたいときに使え、実験もはかどります

本学では、学部4年次に「機械システム分野」「電子情報分野」「物質工学分野」の3分野のいずれかの「研究室」に配属されます

 今枝さんが所属する「スピントロニクス研究室」は電子情報分野の研究室の一つです?

 主には「研究室」という単位で研究活動を行いますが、時には「研究室」や「分野」という垣根を越えて、研究指導を受けたり、自身の研究室では行えない実験のサポートを得たりと、小さい大学ならではの「横のつながり」を活かすことも。

 本論文は、スピントロニクス研究室の今枝さんが筆頭著者となり、物質工学分野のエネルギー材料研究室で、同じく修士課程2年の樋田 怜史さんが第2著者となって、教員3名との計5名の体制で執筆されました。

 今回のように、研究論文では研究室を越えた協力によって、複数人が力を合わせて創りあげることもあるのです。

 現在、修士課程2年に在籍する今枝さんは、研究室の指導教員 田辺 賢士 准教授のもと、日々実験や考察を行い、主に田辺准教授と議論を重ね研究を発展させています。本研究論文は、田辺准教授からのアドバイスをヒントに今枝さんが着想を得て、別の研究室との連携のもとに得られた成果です。

  • 「研究室」とは? 詳しくは、365体育投注_365体育备用网址-中国足彩在线推荐パンフレットP33-36をご覧ください。

 今回のケースのように、ひとつの研究室に留まらずに他の研究室とも連携することで、より広く立体的に研究成果を発展させることができるのです

 今枝さんの博士課程進学後の指導教員にはエネルギー材料研究室竹内 恒博 教授が加わる予定です。研究室を越えた共同研究は、竹内教授からのアドバイスで、エネルギー材料研究室の樋田さんが実験の一部を受けもって、今枝さんが必要としているデータが立体的に広がり、"Featured Article"への選出につながりました。

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「数週間のサポートとなり大変なこともありましたが、同級生だから気を遣わずに実験を進めることができました」と、自身の研究と並行して今枝さんの実験のサポートを行った樋田さん(左)。

「研究の広がり」は「可能性の広がり」

 自分自身で手繰り寄せるために、"アカデミア"である教員をはじめ、同級生など多くの人びとと関わって、最終的には自分で納得がいくまで追求して、成果をまとめあげる。

 一連の研究を通して、逞しい創造力や豊かな人間力を育成する。このような「研究活動」が、本学では、日々繰り広げられています。

 豊田工業大学は、今後も「知の基盤」の一つとして、「教育?人材育成」と「研究?成果の社会還元」を通じて、社会に貢献していきたいと考えています。

  •  本学の特徴?強みと将来に向けての新たな挑戦を示す「長期ビジョン」も併せてご覧ください こちら